加法混色を生きる

by 瀬川辰馬

二回目となる白日個展が閉幕した。

今回のポスターは採石場の堆積した石粉をマクロで撮ったもので、色があり、また無いようでもある様が新作の炭化白釉の佇まいと重なったと、西坂が話してくれた。

このポスターを初めて見たとき、この一年間を祝福されたような気持ちになった。

白は純真や無垢の表象として語られがちだけど、その考え方は減法混色を前提としている。
僕のやりたい白は、そういう種類の白じゃない。
僕が作品制作を通じて生きたいと願っているのは加法混色の世界だ。

間違い、葛藤、あるいは実験精神。
そういった濃色が堆積していくにつれ、現れとしては白へ、無垢へと近づいていくような式のなかに、僕は生きていたい。

炭化白釉は、金属彩という実験精神が堆積していった先にあった「白」であり、ポスターを通してそれを端的に言い当てた西坂を、信頼せずにはいられないなと改めて思う。

個展は完売というかたちで閉幕し、これ以上ないご褒美のような結果で一年を締めくくることができたのだが、実は個展期間中にもうひとつのご褒美を与えてもらった。
二十代の頃から自分にとって特別な存在だった、シンガーソングライターであり文筆家でもある寺尾紗穂さんにご来店頂いた。(この人の『たよりないもののために』という楽曲がなければ、僕はどこかでつくり続ける生き方を断念していたかもしれない。)

寺尾さんと交わした言葉たちを支えに、あと10年はがんばれるなあとマジで思う、今日このごろ。